◆毒の恋 7500万円を奪われた「実録・国際ロマンス詐欺」◆

毒の恋 7500万円を奪われた「実録・国際ロマンス詐欺」 - 井出智香恵
毒の恋 7500万円を奪われた「実録・国際ロマンス詐欺」 - 井出智香恵




今年の2月に、作詞家・及川眠子さんの著書、
「破婚 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年」の感想を書いたけれど、
 ↓
https://aomikamica.seesaa.net/article/508345234.html

また似たような本を読んでしまった。
私は、読書は小説が好きで、
実体験ものは、いつもはあまり読まないのだけれど、
もしかしたら、
騙されたとか、金を取られたなどの話は、
好きなのかもしれない。


本書の著者は、漫画家の井出智香枝(いで・ちかえ)さん。


井出さんは、
映画「アベンジャーズシリーズ」でハルク役を演じている
ハリウッドスター、マーク・ラファロの大ファンで、
彼のFacebookが更新される度に「いいね」を付けていたところ、
ある日、本人を名乗る男(もちろん偽者。以下・偽マーク)
から直接メッセージが届き、
チャットでやり取りするようになる。


その内容は、次第に恋人同士のようになってゆき、
ついに井出さんと偽マークは、
PC越しに結婚式を挙げるのだが、
その直後から、怒涛の金の無心が始まる。


前出の及川眠子さんと、井出さんとの違いは、
及川さんは、相手と結婚生活の実態があった事に対して、
井出さんは、偽マークとは一度も直接会っていない事。


それから、金銭の事を言うのは申し訳ないけれど、
及川さんが年収3000万円なのに対して、
井出さんは、偽マークが要求するだけの持ち金がないため、
なんと、息子さんに、
消費者金融から限度額目一杯の金を借りてもらい、
偽マークに送金したりしている。


なんという事・・・。
男にのぼせるのも、恋愛するのも自由だけど、
我が子だけは、サンクチュアリというか、別次元のものというか、
他人事ながらも、そんな事で迷惑をかけてほしくなかったと、
読みながら、「お願い、それだけはやめて」と言いたくなった。
まぁ、私のような者に言われたくないだろうし、
全ては、もう済んでしまった事ではあるけれど。


とにかく、ここには書き切れない、
異様な出来事が次々起こり、
その度に、送金を懇願され、
井出さんは金を貢ぎ続け、
最終的に、その額は7500万円にもなったそうだ。


井出さんは事件当時70歳。
文中に何度も、
「70歳の恋する乙女」という、
当時の自分を表す、自虐的な言葉が出てくるし、


それから、
「今にして思えば」という言葉が実に多い。
熱に浮かされているときは、
異常な出来事や、詐欺師の言葉を疑う事もできない、
洗脳状態だったのだろう。




「自分だけは絶対大丈夫」、
なんて言い切れる人は、
この世にいない。


それから、
「自分はお金が無いから大丈夫」というのも、
引っ掛からない理由にはならないのだと、
本書を読むとよく分かる。
洗脳されてしまうと、
借金したり、大切なものを売り払ってでも、
人は詐欺師に貢いでしまう。
気を付けよう、本当に気を付けよう。

◆破婚 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年◆

破婚―18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間― - 及川眠子
破婚―18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間― - 及川眠子



及川眠子(おいかわ・ねこ)さん。


Winkの「淋しい熱帯魚」や「愛が止まらない」、
それから、
『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌「残酷な天使のテーゼ」など、
多数のヒット曲を持つ作詞家さん。


私は最近、この及川さんが、
18歳年下のトルコ人男性と、13年に渡る壮絶な結婚生活を送っていた事を知り、
それが詳細に書かれているという本書を読んでみた。


いやはや、想像以上。
トルコ人の金銭感覚、時間の概念は、
勤勉で真面目な日本人には有り得ないほど緩く、
及川さんは、結婚当初より夫から、
「父親が病気になった」
「姪が怪我をした」
など、本当か嘘かも分からない理由で、
その度に金を無心され、


さらに「旅行会社を経営したい」「ホテルを経営したい」など、
及川さんから引っ張る金額がどんどん大きくなってゆき、
最終的に離婚するまでの間に、
3億円の金を貢いだ上に、
さらに7,000万円の負債を負ったという。




「トルコ人との結婚」と最初に聞いた時、
私は、
「国際ロマンス詐欺」に近いような、
結婚生活の実態など殆どない、
金だけを絞り取られる関係かと想像したが、
そのような事はなく、
夫は、大抵のトルコ人がそうであるように、
大変に情熱的で、
精神的にも、肉体的にも、
及川さんを愛してくれたそうだ。
(それが金目当てだとしても)。


この元夫のために、多額の金を失った及川さんだけど、
youtubeなどを見てみても、
決して後悔していない事が分かる。
むしろ、人と違う経験ができて良かったと、話されているし、
まぁ、その気持ちに嘘はないのだろう。


ただ、私にはできない(笑)。
そこまでの度胸も、
なるようになる、という達観した根性もない。
っていうより、
そもそも、他人に金を無心されても、
渡そうとは決して思わないだろう。
それがどんなに好きになった相手としても、
金の話が出たら、その場で冷める。


それは、及川さんが作詞家として、
莫大な収入を得ているからできた事とも言える。
特に「残酷な天使のテーゼ」は、
毎年、カラオケのランキングトップ10に入る人気曲で、
さらに、パチンコで使用されるようになってからは、
カラオケより印税が高く、
ここ25年間の年収は3,000万円を切った事がないそうだ。


人様が、努力と才能で得たお金を羨ましがるような、
さもしい人間にはなりたくないと思ってはいるけど、
やっぱり羨ましい夢の印税生活(笑)。
それだけの収入があったら、
男に貢ぐなんて、どーって事ないのかもしれない(笑)。

◆地球家族◆


地球家族―世界30か国のふつうの暮らし

地球家族―世界30か国のふつうの暮らし

  • 出版社/メーカー: TOTO出版
  • 発売日: 1994/11/10
  • メディア: 大型本


世界30か国の、
一般的な家庭の、
家の中にあるものを、
全部、外に運び出して、
見せてもらう、という写真集。


大好きな本。
たまに見たくなる。


30年ほど前の内容なので、
多少、古いけれど、
持ち物から、
各国の生活が垣間見える。


例えば、
鍋、食器、バケツ、寝台などが、
全財産という国もあれば、


沢山の物に囲まれて、
暮らしている国もある。





日本も、30番目に紹介されている。


都心から1時間半、
40代夫婦に、子供2人という、
日本の平均的家庭だと思われる、
Uさん一家。


紹介されている国々の中でも、
ダントツに物が多い。
それらは、
どこの家庭にもあるような、
普通の物ばかりで、
特に珍しい品があるわけではない。
つまり、日本は、
とても多くの物に囲まれて生きているという事になる。


基本的な物は、
今も変わらない気がするけど、
最近は、断捨離などの概念もすすんだので、
どうなんだろう、
少しは物は減っているのだろうか。





先進国の中で、
意外と物が少ないのがロシア。


今のロシアは、
暴走しているように感じるけど、
一般の人々の暮らしは、
変わったか、
そうでもないのか。

◆私生子◆

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先日、映画「94歳のゲイ」について書いたのですが、
 ↓
https://aomikamica.seesaa.net/article/2024-07-22.html

主人公の長谷忠さんが、
長谷康雄というペンネームで、
2000年に出版された本が、
この「私生子」です。
図書館にあったので
読んでみました。


本の紹介文は、


【あたしはほんとは女に生まれた方がよかった。
こどもの頃のあたしがどんなだったか。文章にしにくいけれど…。
戦争・私生児・性同一性障害。70年を詩的に生きた「あたし」の真実。】


主人公の一人称が「あたし」で、
「あたし」の名前は忠。
つまり、架空の話ではなく、
長谷さんご自身の人生について書かれた
私小説のように思います。





「あたし」は四国のある村で、
タイトル通り、
正式な夫婦でない両親の間に生まれた。


父は村の有力な医者で、
地主でもあり、
しかし、本妻がいたので、
「あたし」とは一緒に暮らしていなかった。


そんな生い立ちから、
19歳までの「あたし」の人生が、
描かれる。


「あたし」が、自身の性別について、
ひどく思い悩むという場面はないけれど、
その行間から、
思いが伝わってくるし、
初恋だった、学校の先生への気持ちも描かれる。





一箇所、サラッと書かれているけれど、
興味深い場面があった。


村の子供たちがみんなで、
飼い葉切りで遊んでいた所、
一人の男の子が、
一人の女の子の小指を切り落としてしまう。


今なら大騒ぎになりそうな事件だけど、
男の子と女の子の親が話し合い、
2人を許嫁にする事で話がついたという。


90年ほど前の話だろうけど、
これだけのエピソードで、
当時の結婚観が伝わってくる。


その時、「あたし」は、
もし、その男の子が自分だったらと、
思ったそうだ。
女の子を好きになれない自分だったら、
さぞ困惑しただろうと。


昔は、当人の意思など関係なく、
親が連れてきた相手と、
否も応もなく結婚したという話をよく聞くけれど、
同性愛に限らず、
様々な理由で辛かったかたも多かっただろうなぁ、と
想像する。
そういう時代に比べたら、
多少でも自由に生きられる今の方が、
まだマシと言えるのだろうか。

◆雨滴は続く◆


雨滴は続く (文春文庫)

雨滴は続く (文春文庫)

  • 作者: 西村 賢太
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2024/01/04
  • メディア: Kindle版


これは・・・
大どんでん返し・・・。


それも、小説本体ではなく、
「特別寄稿」での。
軽くショックを受けて、
電車の中で読んでいたのに、
涙出た。


2022年に急死した、
西村賢太の遺作で、未完。


本作の、
文藝春秋社のキャッチコピーは、


【芥川賞受賞”前夜”の知られざる姿を描いた最後の長編】


相変わらずの西村賢太節が
延々と続くこの本は、
賢太自身だと思われる、
主人公・北町貫多の、
芥川賞受賞前の、
しょーもない日常が描かれる。


同人誌に、細々と小説を発表していた、
北町貫多は、
自身の作品が商業誌に載せられる事が決まるという、
喜びに加えて、


タダで性交できる女がほしいと渇望する彼は、
おゆうという源氏名のデリヘル嬢と懇意になり、
プライベートで会うようになる。


ところが、おゆうもその気になりかけた頃、
ある新聞社の新入社員・葛山久子に一目惚れした貫多は、
おゆうの事など、
もうどーでもよくなり、
彼女からのメールや電話を無視。


しかし、当然の事ながら、
久子から相手にされるはずもなく、
それが分かると、
またおゆうに連絡をする。
2人の女の間を、
その時の自己都合で行ったり来たりするという、
その浅ましい心理が、
実に巧みに描かれていて、
時折、声を上げて笑ってしまう。
そんなこんなの話が、
546ページに渡って描かれる。



そして、
なんと、
この小説のヒロインともいえる、葛山久子が、
巻末に、
「特別寄稿」している。
その内容が、冒頭に書いた、大どんでん返しというわけで。


「特別寄稿」を読み始めてすぐ、
え・・・嘘でしょ・・・、と思い、
読み終えて、
自分の読み違えかと、もう一度読んだ。


素晴らしい「特別寄稿」。
私が今まで思い描いてきた、
西村賢太像は、
完全に覆された。
この「特別寄稿」を以て、
この未完の長編は、
完成したと思う。


賢太の小説、
もっともっと読みたかったよ。
作品は、ほぼ全部読んでいるから、
https://aomikamica.seesaa.net/article/2011-12-27.html
https://aomikamica.seesaa.net/article/2012-04-02.html
https://aomikamica.seesaa.net/article/2012-04-09.html
https://aomikamica.seesaa.net/article/2012-04-26.html
https://aomikamica.seesaa.net/article/2012-05-08.html
https://aomikamica.seesaa.net/article/2013-10-02.html
勝手に、
他人とは思っていないの、私。