「母恋星」

hahakoiboshi.jpg
〔1949年/日本〕


金持ちの市橋家の一人息子・高行(夏川大二郎)は、
使用人の澄(三益愛子)と恋仲になり、
澄は妊娠する。
しかし、高行の父は、澄を預かるとして、
高行を留学させる。


高行の父は、高行の居ぬ間に、
澄を、運転手の坂上に、
お腹の子供ごと、押し付けようと計画していたが、
澄は市橋家を飛び出し、
以来、女手一つで、
生まれた息子・高夫を育ててきた。


小学校を卒業した高夫は、
成績優秀だったが、
貧しさのため、中学に進学できず、
新聞売りをしていた。
そこで、偶然、父の高行と出会う。


高行は結婚していたが、
子供がおらず、
高夫を引き取りたいと、
澄に申し出た。


貧しい自分が育てるよりも、
高行の家から学校に通わせた方が、
高夫の将来のためになる。
澄は、引き裂かれるような思いで、高夫を手離すが・・・。





「母もの」を演じたら、
右に出る者はいないと言われた、
三益愛子さまの、
泣かせる映画。


愛する男の子供を産み、
一人で育ててきた母・澄だけど、
貧しさから、
息子の高夫を中学に入れてやれない。
実際、高夫は、
受験をして、
試験に合格しているのだ。
なのに、進学を諦める様子が、
観ているこちらは、
勿体なくて、ガックリする思い。


そんな所に、偶然現われた父・高行。
金持ちの父は、
高夫を引き取って、学校に行かせてやると言う。
その申し出は、
本当に嬉しいけれど、
でも辛い。


結婚している高行は、
澄まで引き取るわけにはいかず、
母子は引き離される。
今まで親子2人で、
肩を寄せるように仲良く暮らしてきたのに、
突然、子供がいなくなるって、
どれだけ淋しい事か。


でも、これ、
澄と高夫の生活はそのままで、
高行は、金銭的な援助だけする、
という風にはできなかったのかな、と映画を観ながら思う。


それだと、
妾と隠し子を囲っているようになるので、
無理か。
でも、澄は、
妻より先に高行と出会って、
子供を産んでいるのだから、
養育費を払うのは当然のような気がするのだけれど。
今とは、感覚が違うのかもしれない。


その後、澄は、
正当防衛から、人を殺めてしまい、
高夫の将来を思って、
完全に姿を消す。


大人になった高夫は、
必死に母を探す。
ハッピーエンドだから、
安心してください(笑)。


評価 ★★★☆☆

この記事へのコメント

  • mitu

    ポスターの昭和な感じが好いですねぇ^^
    2024年01月13日 13:42
  • 侘び助

    丁度その頃青春時代、映画は30円ぐらいだったかな?
    お涙頂戴もの大好きで、映画館に泣きに行っていましたね(^_-)-☆
    2024年01月13日 18:00
  • よしあき・ギャラリー

    なんて懐かしい!
    私が小学生の頃、母が三益愛子が好きで否応なく連れていかれました。
    ^^;
    2024年01月14日 05:29
  • わたし

    このころは映画館の看板が写真ではなかったのですね、覚えています。かなり長い事手書きの看板でしたよね。でもそれはだんだん上手になり写真のようになっていきました
    2024年01月14日 10:01
  • プー太の父

    遅くなりましたが今年も宜しくお願いいたします。
    廣沢寅造って子供の頃に聞いたことありましたが
    記憶では浪曲か講談だったかなと思います。
    私はラジオのそんな番組は全然面白くなかったのですが
    父親がファンだったので廣沢寅造はよく覚えています。
    2024年01月14日 13:53
  • tommy88

    時代は変わりました。
    時代が変わる前は、女は物であり男の言うことを聞く道具でした。
    そういう時代を知っていて、理不尽を腐るほど見てきました。
    言葉にはしないけど、嫌でしたし、何でやねんと思っていました。
    ごく親しくしていた隣のおばさん(今から思えばお姉さん)。
    まだ小学生だった私をとても可愛がってくれました。
    が、えっちな雰囲気はちゃんと嗅ぎ分けていた小学4年生。
    何でいつも一人なのかなと思うと、時々おじさんが来ていました。
    いわゆるお妾さんで、妖しい雰囲気を小学生の分際で感じてました。
    今はもっと過激に、なんぼや、カネじゃ、でしょう。
    昔、時代は貧しく、貧しくともおじさんとお妾さんは居ました。
    いつのじだいもえっちな空気は流れているのだなと思うのです。
    善悪や倫理ではなく、昔から、あるのでした。
    うちの祖母が妾だった、あるいは祖父が妾を持っていたか。
    そういう話を子どものころに聞いた記憶があります。
    そこにはえっちな記憶はありません。
    そして、子どもの将来がカネで左右されるのは、今も同じですね。
    さて、「三益愛子さま」ですから、気になりチェックすると。
    川口浩の御母堂、川口松太郎の奥様と、なるほど「さま」が付く。
    しかし、お年を召した頃からしか存じ上げておりません。
    2024年01月14日 16:17
  • moz

    ハッピーエンドなんですね。ホッ ^^
    良かったです。もとはと言えば高行の父親のせいですよね。
    それに書かれている様に、引き取る方はいいのかもしれないけれど、引き裂かれる方は・・・本当に悲しいんだなぁと。
    時代のせいもあるのかもですが、今でも、こんな話はあるのかも?
    でもでも、ハッピーエンドで良かったです ^^v
    2024年01月14日 16:28
  • 英ちゃん

    浪曲ファン推奨なんだ(^_^;)
    浪曲と言えば、浪曲子守唄を思い出します。
    ♪逃げた女房にゃ未練はないが~(;^ω^)
    この映画はハッピーエンドなんだね。
    と、母恋と言えば母恋駅もあるよ、北海道だけどね。
    母恋駅の駅弁が人気があるんだよね。
    2024年01月15日 16:27
  • トモミ

    ハッピーエンドなんですね、安心しました(笑)!この時代の日本映画は多分見たことないです…
    2024年01月16日 07:22
  • お散歩爺

    爺が子供の頃母親に何度三益愛子の映画見に連れて行かれたことか。
    母親は母物映画が大好きだったんです。爺は喜劇か西部劇でした。
    2024年01月16日 08:36
  • Rinko

    母(澄)は辛かっただろうな・・・と、想像して胸が締め付けられました。ハッピーエンドなら、良かったー!!
    2024年01月16日 08:55
  • meganesaru707

    きりりとした母子、青山さんのプロフィール画像と似てる。
    2024年01月16日 12:02
  • sana

    かわいそうなお話ですね。
    今なら養育費払わないのかという感じですけど~(現実に実は払わない人もけっこう多いらしい?)
    昔は家という感覚が強かったんじゃないでしょうか。女性蔑視と言えばもちろんなんだけど。身分違いみたいな感覚もあったし、親が反対すれば家には入れられない、妻は家を守る存在なので、他の女が生んだ子を育てさせるには女とは手を切らないと、みたいな。どこ取っても、とんでもない感じですけど。
    映画は、こう動く三益愛子に同情が集まるので、人情はそういうことですよね。
    ハッピーエンドでよかったです^^
    2024年01月16日 21:55
  • 青山実花

    mituさん
    コメントありがとうございます

    今、このようなポスターは有り得ませんね^^;
    もしあったとしたら、
    わざと、モダンな感じに作ったものでしょうね。
    2024年01月19日 20:16
  • 青山実花

    侘び助さん
    コメントありがとうございます

    映画が30円って、羨ましい、と思いましたが、
    物価を考えれば、当然なのかもしれませんね。
    それでも、このような映画を、
    青春時代に観られたことは、
    とても羨ましいです^^
    2024年01月19日 20:16
  • 青山実花

    よしあき・ギャラリーさん
    コメントありがとうございます

    お母様が三益愛子さんのファンだなんて、
    素敵ですね^^
    私は三益さんの息子さんの川口浩さまが、
    亡くなった俳優さんの中では一番好きです^^
    2024年01月19日 20:17
  • 青山実花

    わたしさん
    コメントありがとうございます

    昔は、大きな写真を作る技術が
    なかったのでしょうか。
    中には、写真か絵か、
    判然としないものもありますね^^;
    2024年01月19日 20:17
  • 青山実花

    プー太の父さん
    コメントありがとうございます

    こちらこそ、
    今年もよろしくお願いいたします^^

    廣沢寅造さん、調べてみましたら、
    浪曲師のようですね。
    娯楽の少ない昔は、
    きっと人気者だったのでしょうね。
    2024年01月19日 20:17
  • 青山実花

    tommy88さん
    コメントありがとうございます

    女が男の道具である事は、
    一部の男には
    今も変わりないようですね。
    応援していた人の裏の顔を知ると
    悲しくなります。

    妾という存在はあったのでしょうけれど、
    この映画の母は、
    それは嫌だったのでしょうね。

    三益愛子さんは
    愛する川口浩さまのお母様ですから、
    私にとって、大切な人です^^
    2024年01月19日 20:18
  • 青山実花

    mozさん
    コメントありがとうございます

    本当に、親父のせいですよね。
    家柄だの体面だのばかり気にして、
    結局誰も幸せにしない
    パターンですね。

    映画とはいえ、
    こういう内容の物は、
    幸せになってほしいですよね^^
    2024年01月19日 20:18
  • 青山実花

    英ちゃんさん
    コメントありがとうございます

    ストーリーからして、
    いかにも浪花節っぽいですよね^^

    母恋駅、調べてみました。
    アイヌ語が語源のようですね。
    お弁当、食べたいです^^
    2024年01月19日 20:18
  • 青山実花

    トモミさん
    コメントありがとうございます

    親子や、子どもが出る映画は、
    ハッピーエンドでないと辛いですものね。

    古い邦画、一度観始めると面白くて、
    何本も観てしまいます^^
    2024年01月19日 20:19
  • 青山実花

    お散歩爺さん
    コメントありがとうございます

    やはりお散歩爺さんのお母様世代に、
    三益愛子さんは人気だったのですね。
    お母様、映画を観て、
    涙を流されたのでしょうね。
    2024年01月19日 20:19
  • 青山実花

    Rinkoさん
    コメントありがとうございます

    息子を学校に行かせてやりたい、
    でも別れは辛い・・・
    悩みますよね。
    ラストはホッとしました^^
    2024年01月19日 20:19
  • 青山実花

    meganesaru707さん
    コメントありがとうございます

    この絵から、
    息子を守りたい母の気持ちが出ていますね^^
    私は単なるひねくれものですが^^;
    2024年01月19日 20:19
  • 青山実花

    sanaさん
    コメントありがとうございます

    ほんと、今なら、
    「養育費払えー!」って感じですが^^;

    今の子育ては、
    子どもの意思を尊重するのが主流のようですが、
    昔は、家長の一存で全てが決まったようですね。
    もう、有無は言わせない、みたいな。
    いい終わり方で、
    私も幸せでした^^
    2024年01月19日 20:20
  • 裏・市長

    この冗談のようなヤル気のない
    ポスターから色々とわかることは、
    本作は「無声映画」なのでしょうか?
    「口演」とありますので。

    さらにお客を呼ぶ気もない同時上映の紹介よ!
    「文化ニュース」
    「新作マンガ」

    そのマンガのタイトルをなぜ書かないのか?!

    「鬼滅の刃」と書いただけで、
    入場者数倍増ですよ?!なのに書かない。

    これはなにか裏があると思います。

    たとえば、ディズニー映画だったり。
    「戦時中に敵国の映画を上映するとはけしからん!」

    などの事情があり、そのタイトルが
    書きたくとも書けなかったのでは
    ないでしょうか。

    そういえば私もこのコメント欄に、
    書きたくとも書けない事柄が多々ございます。

    一度は書いてみるのですが、
    あぁ、これはセクハラだと受け止められない
    だろうか・・・あぁ、これはパワハラだと・・・。

    コンプライアンスを厳守する男、裏・市長。
    やはり時代にあわせてコメントも
    変えていける男として邁進中なのでございます。
    2024年02月11日 04:04
  • 青山実花

    裏・市長さん
    コメントありがとうございます。

    ちょっと裏・市長さん、
    あまりに失礼じゃありません?

    三益愛子さんに、
    「やる気がない」なんて。

    三益愛子さんは、
    「母もの映画」に命を賭けていたのよ。
    いつも、素晴らしいお母さんを演じて、
    全米を泣かせていたのよ。

    そのおかげで、
    自分の子供の面倒を見る時間がなくて、
    4人の子供のうち、
    3人が薬物で逮捕されてしまったのよ。

    そんな家庭環境でも、
    一人だけ逮捕されなかった
    川口浩さまは、どれだけ偉いのかしら。

    やっぱりわたくしが見込んだだけの
    男ですわね。


    裏・市長さんに、
    書きたくても書けない事があるとは
    驚きです。

    これだけ嫌がらせを書いておいて、
    まだ書き足りないとは。
    これ以上、嫌がらせが続くようなら、
    わたくしも、法的措置を考えます。
    2024年02月17日 21:02