
〔1954年/日本〕
明治時代。
早月葉子(京マチ子)は、
母親の反対を押し切って、
作家・木部と結婚するが、
生活力のない彼に失望、
妊娠しているにもかかわらず、
実家に帰る。
妊娠している女が離婚するというショックから、
母は他界。
その後、出産した葉子は、
子どもを婆やに預け、
アメリカで暮らす木村(船越英二)と結婚するため、
船に乗る。
しかし、船の中で、
事務長の倉地(森雅之)と激しい恋に落ちた葉子は、
アメリカに下船せず、
Uターン、
日本で倉地と同棲するようになる。
妹の愛子(若尾文子)を引き取り、
生活も落ち着くかに思われたが、
病魔が葉子を蝕み・・・。
京マチ子さんといえば、
私の中で、
激しい女というイメージなのだけれど、
この映画、
そんな京さんにピッタリの内容。
自由奔放で、
男を振り回すだけ振り回し、
そして、精神に異常をきたし・・・
いえ、これはあくまでも映画の話で、
実際の京さんは、
きっと真っ当な方なのでしょうけれど。
ただ、
物事には必ず、裏と表がある。
彼女は男を振り回しているけれど、
振り回されている面が多分にある。
妹役の、若尾文子さんから、
京さんは言われてしまう。
「お姉さまは、なぜ、男性がいないと駄目なの。
ご自身の手で、幸せを掴もうとはなさらないの」と。
確かにね。
本当に自由な人は、
他人の人生を変えてしまうほどに、
他人に深入りしないだろうし、
他人にも、自分の人生を邪魔させないだろう。
明治時代のお話だから、
それは仕方のない面もある。
京さんは、
父親の言いなりだった母のようにはなりたくないと
言いながらも、
仕事をするわけではなく、
経済的自立など、概念もないようだ。
女は養ってもらって当たり前の時代だったのだろう。
特別面白い映画とは思わないけど、
一箇所、「あ」と思った場面があった。
それは、京さんと森雅之さんが、
旅行に出た先の海岸で、
京さんの元の夫と偶然出会ったシーン。
あまりいい別れ方ではなかったので、
その再会は気まずいのだけれど、
どこか感慨深いものがあって。
原作は有島武郎。
そして、有島さんの息子で、
名優の森雅之さんが準主役。
壮絶な死を遂げた父・有島武郎が描いた小説の人物を
息子が演じるって
面白い。
森さんご自身も、
父に負けず、色々あったようだけど、
どのようなお気持ちで演じられていたのだろう。
小説家や俳優の、あとになって伝説のようになるエピソード、
好きだなぁ(笑)。
評価 ★★★☆☆
この作品で、
若尾文子さんの出演映画、160本中115本を観た事となりました。
(★は観た作品)
★春の雪 (2005)
★竹取物語 (1987)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
幻の殺意 (1971)
★男はつらいよ 純情篇 (1971)
★スパルタ教育 くたばれ親父 (1970)
座頭市と用心棒 (1970)
★天狗党 (1969)
★千羽鶴 (1969)
★濡れた二人 (1968)
★積木の箱 (1968)
★不信のとき (1968)
★鉄砲伝来記 (1968)
★華岡青洲の妻 (1967)
★砂糖菓子が壊れるとき (1967)
★妻二人 (1967)
★夜の罠 (1967)
★雪の喪章 (1967)
処女受胎 (1966)
★赤い天使 (1966)
★雁 (1966)
★氷点 (1966)
★処女が見た (1966)
★刺青 (1966)
★妻の日の愛のかたみに (1965)
★不倫 (1965)
★清作の妻 (1965)
★帯をとく夏子 (1965)
女めくら物語 (1965)
★波影 (1965)
★花実のない森 (1965)
幸せなら手をたたこう (1964)
悶え (1964)
★卍(まんじ) (1964)
★獣の戯れ (1964)
★傷だらけの山河 (1964)
★「女の小箱」より 夫が見た (1964)
★温泉女医 (1964)
★新・忍びの者 (1963)
★越前竹人形 (1963)
女が愛して憎むとき (1963)
★わたしを深く埋めて (1963)
★女系家族 (1963)
八月生れの女 (1963)
★雪之丞変化 (1963)
★しとやかな獣 (1962)
★秦・始皇帝 (1962)
★瘋癲老人日記 (1962)
★その夜は忘れない (1962)
★やっちゃ場の女 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★閉店時間 (1962)
★爛(ただれ) (1962)
★雁の寺 (1962)
★家庭の事情 (1962)
★妻は告白する (1961)
★新源氏物語 (1961)
★銀座のぼんぼん (1961)
★女は二度生まれる (1961)
★女の勲章 (1961)
★東京おにぎり娘 (1961)
★好色一代男 (1961)
★お嬢さん (1961)
★婚期 (1961)
★花くらべ狸道中 (1961)
★銀座っ子物語 (1961)
素敵な野郎(1961)
鎮花祭 (1960)
★偽大学生 (1960)
★安珍と清姫 (1960)
★勝利と敗北 (1960)
★ぼんち (1960)
★からっ風野郎 (1960)
★女は抵抗する (1960)
★女経(じょきょう) (1960)
★初春狸御殿 (1959)
★浮草 (1959)
実は熟したり (1959)
★美貌に罪あり (1959)
花の大障碍 (1959)
次郎長富士 (1959)
★氾濫 (1959)
★山田長政 王者の剣 (1959)
★薔薇の木にバラの花咲く (1959)
★最高殊勲夫人 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
新婚七つの楽しみ(1959)
★母(1958)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
嵐の講道館(1958)
★一粒の麦 (1958)
★息子の結婚 (1958)
★口笛を吹く渡り鳥 (1958)
愛河 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
螢火 (1958)
東京の瞳 (1958)
妻こそわが命(1958)
★青空娘 (1957)
★夕凪 (1957)
★誘惑からの脱出 (1957)
★永すぎた春 (1957)
★朱雀門 (1957)
★慕情の河 (1957)
続銀河の都 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
銀河の都 (1957)
君を愛す (1956)
★四十八歳の抵抗 (1956)
★日本橋 (1956)
★涙 (1956)
スタジオは大騒ぎ (1956)
あさ潮ゆう潮 (1956)
★滝の白糸 (1956)
★処刑の部屋 (1956)
★新婚日記 恥ずかしい夢(1956)
★新婚日記 嬉しい朝(1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新妻の寝ごと (1956)
★花嫁のため息 (1956)
薔薇の絋道館 (1956)
★弾痕街 (1955)
七人の兄いもうと (1955)
★珠はくだけず (1955)
★長崎の夜 (1955)
★幻の馬 (1955)
娘の縁談 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
★月に飛ぶ雁 (1955)
幸福を配達する娘 (1955)
★螢の光 (1955)
勝敗(1954)
荒城の月 (1954)
★月よりの使者 (1954)
緑の仲間 (1954)
★浅草の夜 (1954)
慕情 (1954)
★舞妓物語 (1954)
★酔いどれ二刀流 (1954)
★或る女 (1954)
★心の日月 (1954)
十代の誘惑 (1953)
無法者 (1953)
続続十代の性典 (1953)
春雪の門 (1953)
★祇園囃子 (1953)
続十代の性典 (1953)
チャタレー夫人は日本にもいた (1953)
怒れ三平 (1953)
★十代の性典 (1953)
彼女の特ダネ (1952)
街の小天狗 (1952)
秘密 (1952)
明日は日曜日 (1952)
花嫁花婿チャンバラ節(1952)
★母子鶴 (1952)
猛獣使いの少女 (1952)
★死の街を脱れて (1952)
この記事へのコメント
zombiekong
きよたん
知りませんでした。
お父さんの生き方 作品の内容が内容なだけに
自分に重ねるものもあって複雑だったでしょうね
よーちゃん
やっぱ、凄いわー(^_^;)
裏・市長
絶対にかかわりあいたくないタイプだわ。
「旅先の海岸で元の夫と偶然出会った」。
出来すぎ!そんな事ってある?!。
そんなん、ボクがオークワで半額デザートを
カゴに入れてたら、
偶然、青山実花さんと出会って、
その後、意気投合して
カラオケに行っちゃうぐらい
「ありえへん」偶然やで!。
どっちかが意図的に行動しない限りはありえへん!。
この映画のストーリー自体、
男から言わせれば胸糞悪いことこの上なし、
なのだが、「父の小説を息子が演じる」…。
この辺の裏話…というか、バックボーンのほうが
興味あるし、おもしろい。
娘が離婚して戻って来る。
ショック死する母(笑)。
いや、今だから(笑)だけれど、
この当時で、片田舎住まいだったら、
もう「世間体が悪くて、生きていけない」
レベルだったのだろうなぁ…。
青山実花
コメントありがとうございます。
いえいえ、全然凄い事はないのです。
ただの馬鹿者なのですよ^^;
「座頭市と用心棒」「次郎長富士」観られていますか!
私も早く観たいです!
頑張ります。
「ローガン・ラッキー」面白いですよね^^
少しでもお役に立てたのなら、良かったです。
青山実花
コメントありがとうございます。
お二人が親子というのは、
あまり知られていないようですね。
有島武郎さんが壮絶な死を遂げられたとき、
森雅之さんは、多感な中学生だったとか。
森さんも、女性関係は色々あったようですので、
やっぱりそれは「血」なのでしょうか。
まぁ、出来る男は、
色をも好むって事で^^
青山実花
コメントありがとうございます。
いえいえ、本当のマニアの方なら、
全部観ていると思いますので。
私はまだ71%・・・。
青山実花
コメントありがとうございます。
あら、裏・市長さん、
それでは、この間の出来事は、
「ありえへん」偶然でしたのね。
近商ストアのポン酢の棚の前で、
あれこれ迷っていた裏・市長さんにバッタリお会いして、
「大和高田 光のルネッサンス2017~光で繋がるアモーレ」
を一緒に見にいったなんて。
いえ、本当に偶然なんですのよ。
ポン酢類に目の無い私は、
近商ストアには、異様な種類のポン酢があると聞いて、
探しに行ったんでございますの。
決して裏・市長さんに会いにいったのではありませんわ。
裏・市長さんこそ、
私が来る事を想定して、
網を張っていたんじゃありませんの?
不覚にも、蛆虫の柱を作ってしまった
有島武郎さんの小説を、息子の森雅之さんが演じるって、
面白いですわね。
面白いといえば、
有島武郎さんの最期にインスパイアされたという
「失楽園」を読んだ時、
ラストのあまりの馬鹿馬鹿しさに、
1ヶ月ほど、思い出しては、
笑いをこらえるのに苦労したという、
記憶がありますわ・・・。