「ダンプ渡り鳥」

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〔1981年/日本〕


ダンプの運転手・菊地隆介(黒沢年雄)は、
ある日、歩道橋の上から、
一万円札をバラ撒いている女子大生・頼子(原田美枝子)と出会う。
頼子は、別れた男からの手切れ金を捨てていたのだ。


ダンプ仲間のウエスタン(ジョー山中)は、
2年前に事故で人を轢いてしまい、
北海道に妻・雪子を残し、蒸発している身の上。
そんなウエスタンを、
謎の男・町田(梅宮辰夫)が追ってくる。


ウエスタンが事故で死ぬ。
隆介と、仲間の風見は遺骨を届けに北海道の雪子のもとへ。
雪子は小さな小料理屋を営んでいる。


そこへ町田がやって来る。
町田は雪子の前の夫で、
誤って子供を死なせてしまった彼を、
雪子は激しく憎んでいるのだ・・・。





「トラック野郎」が全10作を終えた、
1年4か月後に公開されたらしい、
「トラック野郎」みたいだけど、
「トラック野郎」とは少し趣の違った映画。


確かに冒頭は、「トラック野郎」っぽい。
警察官に扮した、ビートたけしときよしの2人が、
トラック運転手のなべおさみをいじめている。


当時のビートたけしらしく、
セリフは、「このヤロー、馬鹿ヤロー」がほぼ全部で、
たけし大好きの私には、
ちょっと嬉しくなる出だしだし、
なべおさみが、「トラック野郎」における、
愛川欽也的な役割を果たすのかな、と思ったりもする。
(違ってたけど)


けれど、やっぱり黒沢年雄は黒沢年雄であって、
菅原文太とは違う、という事が分かる。


とにかく、全体の雰囲気がシリアス。
黒沢さんは真面目で、
菅原さんのように
ソープランドで複数のソープ嬢をはべらせるようなことはしないし、
過剰なおふざけもない。


「トラック野郎」でお約束だった失恋があるのは
こちらも同じだけど、
菅原さんの恋愛がいつも「勘違い」だったのに対して、
こちらは、成就するかも、といった雰囲気。


女の私からすると、
おふざけが過剰すぎて付いていけない感のあった菅原さんより、
真面目な黒沢さんの方がいいかな、と思ったけれど、
世間的にはウケなかったらしく、
これ1作で終わったようだ。


上映時間が2時間を超えているというのも、
敗因かなぁ。
せっかち(かどうかは知らぬが(笑))な、
ダンプの運転手さんが観るには長すぎる。
もう少し短く、
テンポよくした方が良かったのかも。


評価 ★★★☆☆

この記事へのコメント

  • Rchoose19

    トラック野郎の後にこんな映画が出来てたんですねぇ。
    全然、知りませんでしたよぉ。
    尤も前は映画が出来たと言って、
    いろんなテレビに番宣で出たりはしませんでしたもんねぇ~。
    2016年09月01日 12:47
  • ぼんぼちぼちぼち

    人間の集中力の持続する時間って限られてるし、ましてや商業映画だと長尺は客受け悪いでやすよね。
    2016年09月01日 13:42
  • hatumi30331

    WOWOWで、懐かしの日本映画特集やってるよ。
    明日は、江戸川乱歩の陰獣、録画してみようと思ってるよ。
    あおい輝彦やで〜〜
    見た事あるかもやけど・・・じっくり見たい。
    江戸川乱歩、大好きで読みあさってた時代があったからね。^^
    2016年09月01日 23:00
  • MONSTER ZERO

    しかし「めくらのお市」のみならずこのあたりまでとは!?
    青山さんのストライクゾーンの広さには感服します!(^^
    素晴らしい!
    2016年09月02日 11:16
  • 裏・市長

    昭和の人間はクソ真面目なモンを求めてないのだ!。
    この当時だったら、まだ戦争帰りの人々も多かったかのぅ。
    せめて映画の中だけでも娯楽を求めていたのだ。

    自分よりアホな主人公を見て笑い、
    その主人公がカッコ良く決める、
    その時「だけ」感情移入しまくって、
    最後のオチでひどい目に会う主人公を見て、
    また、あざ笑う・・・。

    なんや、まんま「トラック野郎」とか、
    「男はつらいよ」の世界観やん!。

    当てようと思って作れないのがヒット作やなー。
    一番星号も1作目はショボイ。
    軽トラにベニヤ貼ったような(笑)。

    やっぱり、この映画も
    太宰がおいしい!ぐらいのセリフをブッぱなすほどの
    ブチ切れ感がないと行けなかったのだろうか。
    角川映画の時代にダンプはどうあがいても
    アカンかった気もする。

    今で言う、マーケティング戦略の見誤り(笑)。

    でも、どんな映画でも観た人によって、
    思い出の一本だったり、忘れられない一本だったりする。
    こちらのブログの基本方針、
    どんな映画でも良い部分を見つけ出す・・・。いいブログや。

    自分の好きなモンをけなされるほど、寂しい事はない。

    わかっていながら、ボク、ボロックソけなすの(笑)。
    こないだもファンクラブに入るほどの
    エグザイルファンに向かって、
    ボーカルは亀田3兄弟の長男!、
    あとは土方の兄ちゃんの集まり!と、絶賛したら
    本気で怒られた!。
    2016年09月02日 11:22
  • 青山実花

    Rchoose19さん
    コメントありがとうございます

    はい、
    おそらく多くの方は、
    このような映画は知らないと思います・・・
    っていうか、
    私も、友人からDVDをお借りするまで知りませんでした(笑)。

    Rchoose19さーん、
    来週、楽しみね♪
    ちょっと色々お尋ねしたい事があるのよ。
    酔わないうちにお話しなくちゃ(笑)。
    2016年09月02日 13:49
  • 青山実花

    ぼんぼちぼちぼちさん
    コメントありがとうございます

    そうなんです、
    この内容の娯楽映画で
    2時間超は長すぎる気がします。
    映画を作って、ストーリーや映像も大事だけど、
    そういった事まで考えなくてはいけないんですよね。
    2016年09月02日 13:52
  • 青山実花

    hatumi30331さん
    コメントありがとうございます

    ごめんなさい、私はWOWOWの事は分からないのですが、
    「懐かしの日本映画特集」は楽しみですね♪

    「江戸川乱歩の陰獣」は観ています。
    http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12

    hatumi30331さんが楽しまれる事を祈っています。

    江戸川乱歩、いいですね♪
    2016年09月02日 14:01
  • 青山実花

    MONSTER ZEROさん
    コメントありがとうございます

    いえいえ、
    「お市」も「ダンプ」も、
    私と親しくしてくださっている友人が貸してくれたDVDで、
    私自身がセレクトしたわけではないのです。
    「素晴らしい!」と言えるのは、
    私ではなく、友人の方なのです^^
    2016年09月02日 14:08
  • 青山実花

    裏・市長さん
    コメントありがとうございます

    そうですねぇ、
    やっぱり、ビデオも何もない時代、
    お金を出してまで「トラック野郎」と観に行こうという、
    ある層の人たちには、
    この「ダンプ渡り鳥」は、
    物足りなく感じたかもしれませんね。

    黒沢さん、笑えないもん(笑)。
    彼が風俗行って大騒ぎ、なんて場面、
    想像もできない。

    もしかして、それは2作目以降という風に
    考えて作られたのかもしれないけど、
    幻でしたねぇ。
    未来の事は誰も分からない。
    したい事があるなら、
    1作目からどんどん詰め込んでいかないと。
    映画も、人生も、
    「次」なんて、無いんですよね。


    >どんな映画でも良い部分を見つけ出す・・・。いいブログや。

    そう、それは、
    真っ当で、
    聖人君子で、
    人生に一点の曇りもない、
    高潔な私が書いてるから・・・って、
    誰も信じねーよ(笑)。

    >わかっていながら、ボク、ボロックソけなすの(笑)。

    うん、知ってた(笑)。
    和歌山で、裏・市長さんにお会いした瞬間に、
    「あ、意地悪される・・・」って感じたから(嘘です(笑))。

    でも、

    >ボーカルは亀田3兄弟の長男!、
    >あとは土方の兄ちゃんの集まり!と、絶賛したら

    これって駄目なんですかね。
    私、彼らのファンの方は、それを承知の上で
    ファンやってるんだと思っていましたよ(笑)
    2016年09月02日 16:30

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