「黄金のアデーレ 名画の帰還」

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〔2015年/アメリカ・イギリス〕


ロサンゼルスで小さなブティックを経営する
マリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、
オーストリアの名家の出身でありながら、
ナチスの迫害に遭い、
命からがらアメリカへ亡命した過去があった。


マリアの亡くなった伯母・アデーレが
クリムトに描いてもらった美しい肖像画が、
ナチスに略奪されたままになっており、
法律が変わった今、
マリアはその絵、「黄金のアデーレ」の返還を求め、
友人の息子で弁護士のランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)に
相談する。


「黄金のアデーレ」は、
現在、オーストリアの美術館に展示されており、
オーストリアがそれを手放すのは、
困難を極めると想像される。


さらにマリアは、
辛い思い出の残るオーストリアに行く事を
最初は躊躇う。
しかし、自身の過去と対面するため、
かの地へ赴く事を決意する・・・。





オフ会でお会いして以来のブログのお友達で、
人生の大先輩のsigさんが、
コメント欄からこの映画の事を教えて下さり、
また、ご自身のブログでも、
感想を書いておられるので、
http://fcm3.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24-1
私も早速、観に行った。


sigさんから奨められたからというわけではなく、
私自身の感想として、
本当に素晴らしい映画で、
帰りの地下鉄の中でも、
思い出して、涙が出た。
(前の席の方は変に思ったかな。
 ま、こんな女が地下鉄で泣いていても、誰も気に止めまい(笑))
今、こうしてブログを書いていても、
涙が出る。


109分の、そう長くない映画だというのに、
なんだろう、
2~3本の映画を観たような充実感。


この映画自体の作りが、
マリアの現代の様子と、
過去の出来事とが、
交互に描かれるせいかもしれないけれど、
それだけではなく、大変な深みを感じる。


現代の場面は、
クリムトの名画、「黄金のアデーレ」を、
主人公のマリアが取り戻せるのかどうか、
その結末が気になって仕方がない。
裁判の場面は、
大変な見応え。


それだけなら、泣ける要素はない。
泣けるのは、
マリアと両親の場面。


詳しくは書けないけれど、
沈みかかった泥船に乗っている家族に、
救命艇の席が2つしかなかったら、
その時、
両親はどうするか、
そして、子供の気持ちは・・・
という例が正しいかどうかは分からないけど、
これが私の精一杯の表現。


マリアと夫が、
ナチスから追われる時の
緊張感も凄い。
観ているこちらは、
「早く、早く」と手に汗握る。


緊張と涙で、
心が満たされるような映画だった


評価 ★★★★★

この記事へのコメント

  • 原みつる

    これは何かでみたような・・・
    アタシσ( ̄  ̄〃)にはどうかな~?って映画ですよね。
    でもね~なんか青山実花さんの記事を読んでいると観たくなってしまうのよね~
    2015年12月03日 20:27
  • mitu

    この映画は、是非観たいと思います!
    泣いちゃったのね、泣くと鼻水がでちゃいますよね(^_^)
    2015年12月03日 20:38
  • lequiche

    5つ星ですか。
    YouTubeでトレーラーを観ましたが、
    ヘレン・ミレンは品があって存在感があって美しいです。

    サイモン・カーティスという監督はこれが2作目なのに、
    最初はマリリン、そしてクリムトと、
    題材の選択センスが光ってると思います。
    マルレーン・ゴレスの《ダロウェイ夫人》の
    製作者の中にもカーティスの名前がありますね。
    このへんのことは知らないので大変勉強になります。
    2015年12月04日 02:04
  • don

    ぜひ見たいと思いましたが、
    これまた近所のイオンシネマでやってない・・・
    DVDを待つかな^^;
    2015年12月06日 16:00
  • 青山実花

    原みつるさん
    コメントありがとうございます

    結構宣伝されていますね♪
    原さんもきっと楽しめると思います。
    ぜひご覧になってみて下さいね。
    2015年12月09日 07:50
  • 青山実花

    mituさん
    コメントありがとうございます

    私も鼻水が出やすい質です(笑)。
    映画を観ていると、思わぬ所で泣く事があるので、
    ティッシュは必須ですね^^
    2015年12月09日 07:51
  • 青山実花

    lequicheさん
    コメントありがとうございます

    ヘレン・ミレンは本当に気品がありますね。
    エリザベス女王を演じたのも分かります。
    それでいてコメディもできる凄い女優さんですね。

    サイモン・カーティス監督、
    2作目なので若いのかと思っていましたら、
    意外とおじ様でした^^;
    確かに「ダロウェイ夫人」に名前が載っていますね。
    そういった経験を積んで、
    きっとじっくり機会を窺っていたのかと想像します。
    2015年12月09日 07:58
  • 青山実花

    donさん
    コメントありがとうございます

    ご近所で上映してないですか。
    残念です。
    ただ、DVDでも楽しめると思います。
    じっくり観るタイプの映画ですので。
    いつかぜひ。
    2015年12月09日 07:59
  • sig

    こんばんは。ようやくこの記事に到達。すぐにご覧になったんですね。やはり感動作でしたか。あ~、よかった。青山美花さんが「なんでこんな映画に感動したんだろ」なんて書かれたら、隠れる場所を探さなければなりませんでした。私の感性もまだ枯れてないと思うことにいたしましょう。笑
    2015年12月22日 22:21
  • 青山実花

    sigさん
    コメントありがとうございます

    いえいえ、
    むしろ私は、sigさんが良いと言われた作品に
    感動できなかったどうしようかと不安でした。
    私の感性など、全く当てになりませんので^^;
    sigさんの感性が枯れるなんて、とんでもないです。
    私の方がお手本にしたいです。

    この映画は本当に素晴らしかったですね。
    ヘレン・ミレンの演技も良かったですし、
    若い頃を演じた女優さんも良かった。
    親が子を思う気持ちに泣かされましたし、
    結末にはホッとしましたね。
    2015年12月23日 00:06

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