「スパルタ教育 くたばれ親父」

Spartakyouikukutabareoyaji.jpg
〔1970年/日本〕


プロ野球の名審判・石原裕次郎は、
家に帰れば5人の子供の父親。


ナイターの日は、帰りも遅く、
日中は寝ている為、
子供や家の事は、全て妻・若尾文子に任せきり。


ある日、仲間の審判員・小島が心臓病で倒れ、
病院に付き添った石原は、
小島の娘・雅子が学生運動にかぶれ、
連絡が取れない事を知る。


2軍の野球選手・渡哲也を伴い、
雅子の学校に乗り込んだ石原は、
彼女を無理矢理連れて帰り、
父親の所へ連れてゆく。
また、あまりに風紀の乱れた学校の様子に驚き、
学生たちを殴りつけ、
スポーツを教える。


自分の子供には甘い石原だったが、
長男の学校の教師から、
長男が問題児だと指摘され、
それは父親不在だからと言われる。


彼は我が子への放任主義を止め、
厳しい親父へと変わるのだが・・・。





スパルタ教育か。
今、そんな事を提唱したら、
虐待だ、体罰だと、
大変な騒ぎになりそうだ(笑)。


石原慎太郎原作の話を、
石原裕次郎が演じたらしい。
しかも、妻役は若尾文子さん。
内容はともかく、
2人が共演て、とっても珍しくて嬉しい。
1970年頃には、五社協定というのが、
実質上、消えかかっていたようなので、
こんな組み合わせが実現できたのかもしれない。


とはいえ、
若尾さんが得意とする、
女の情念みたいな場面は一つもない。
彼女は良妻賢母で控えめ、
あくまでも主役は石原裕次郎のファミリードラマ。
いかにもな体育会系のお話なので、
若尾さんのお色気を発揮する隙間はない(笑)。


このタイトルはちょっと内容と違う。
石原裕次郎の子供はまだ幼く、
スパルタ教育というほど、凄い事はしない。
彼が教育するのは、あくまでも他人。
不良学生とか、暴走族とか。


結構面白いのが野球の試合の場面。
王さんや長島さんが本当に出てくるし、
解説者を金田正一さん本人が演じている。
裕次郎が審判員をする日は、
若尾さんも子供たちも、
固唾を飲んで、テレビに見入っている。


しかも彼のジャッジはとても正確で、
新聞で讃えられたりもする。
子供たちは、そんな父を、
実は尊敬しているのだ。


評価 ★★★☆☆

この記事へのコメント

  • いっぷく

    面白そうな作品ですね
    主人公のキャラクターは
    「青春とはなんだ」の審判版みたいですね
    ノノムラ先生が審判になったらどうなのか
    という感じでしょうか。でも「青春とはなんだ」の
    十朱幸代とは丁々発止とやり合っていたので
    その点が少し違うのかな。石原裕次郎の作品は
    子供の頃はよくわからなかったので何とも思いませんでしたが
    トシをとってくると、東宝とはひと味違う日活らしい
    はすっぱな青春ストーリーが胸に染みいります。
    2013年03月07日 16:19
  • 青山実花

    いっぷくさん
    コメントありがとうございます。

    「青春とはなんだ」とは「なんだ?」と思い(笑)、
    ウィキペディアで調べてみたところ、
    なんと、この映画と同じ石原慎太郎さんが原作者なんですね!
    しかも映画より5年も早く作られたドラマと言う事で、
    ある意味、これは、
    「青春とはなんだ THE MOVIE」なのかもしれませんね(笑)。


    石原裕次郎さんの映画は、
    7~8本しか観た事がないのですが、
    「あいつと私」の明るさが好きです。
    これから色々観ていきたいと思っています。
    2013年03月09日 04:06
  • ミスカラス

    裕次郎の映画で、こんなのあったんですね。共演が若尾文子というのも珍しいし面白いですね。この時代は、日活ではなくて
    石原プロでの作品だったんですかね。
    彼の映画で好きだっというか印象に残っているのは、唯一の戦記モノで、ゼロ黒雲一家という映画ですね。痛快な映画でした。
    2013年03月09日 17:45
  • 青山実花

    ミスカラスさん
    コメントありがとうございます。

    私もそう沢山の裕次郎映画を観たわけではないので、
    何とも言えないのですが、
    ファミリードラマというのが、
    なんだか珍しい気がします。

    パッケージを見ると、
    「ダイニチ映配」と書かれています。
    大映と日活の合併なのでしょうか。
    それなら裕次郎さんと若尾さんの共演も、
    納得できるのですが。


    「ゼロ黒雲一家」という映画はタイトルも知りませんでした。
    いつか観てみます!
    2013年03月10日 18:27
  • ミスカラス

    誤字でスイマセンでした。零戦黒雲一家です。
    ご迷惑でなければ貼っておきます。
    http://youtu.be/S4D5QaRYGSc

    後・・彼の唯一の時代劇の城取りも面白かったです。映画って意外性があるのも、面白さの要素のひとつだと思うのですが・・監督がいずれも舛田利雄監督なんですね。
    2013年03月15日 20:40
  • 青山実花

    ミスカラスさん
    コメントありがとうございます。

    動画、ありがとうございます。
    飛行機が低空で飛ぶ様子など、
    迫力がありますね。
    ソフトが見つかればいいのですが。

    「城取り」という作品も、
    タイトルさえ知りませんでした。
    調べてみますと、中村玉緒さんとの共演なんですね。
    こちらも、五社協定の枠を超えた作品なのでしょうか。

    私も、私自身が映画を観る究極の理由は、
    「驚きたい」という理由のような気がします。
    意外性や、思いもかけぬ展開、隠された秘密など。
    これからも意外性を求めていきたいと思います(笑)。
    2013年03月17日 20:06

この記事へのトラックバック