
〔1992年/イラン〕
「友だちのうちはどこ?」から3年後の1990年。
大地震に見舞われたイラン。
「友だち~」の監督、アッバス・キアロスタミ(ファルハッド・ケラドマンド)は、
息子を伴って、
壊滅状態だと言われるロケ地へ、
主人公の少年の安否確認に出向く。
道は渋滞で、乗用車は思うように進まず、
脇道に入る監督。
家は壊れ、
瓦礫を片付ける人々が必死に働いている。
少年の住む町・コケルはまだまだ遠く、
途中、「友だち~」に出演していた老人に出会い、
彼の町で一旦休憩する。
そこで、地震の翌日結婚したという夫婦と出会い、
話を聞く監督。
夫は地震で親族65人を失ったが、
かえって、年寄りたちの意見を聞かなくて済んだため、
さっさと結婚できた事を話す。
出発した監督は、
探していた少年が20分前に、
同じ道を通ったと知る。
再会はできるのか・・・。
この間観た、「ライク・サムワン・イン・ラブ」が
めっちゃ面白かったので、
同じ監督・アッバス・キアロスタミの
別の作品を、と思い、借りてみた。
ドキュメンタリーのようでありながら、
そうではなく、
でも、淡々と出来事を追ってゆくその内容は、
不思議な味わい。
おそらく、ファルハッド・ケラドマンドが出会う人々は、
俳優さんではなく、一般の人で、
ケラドマンドだけが、監督という役を演じているだけで、
あとは本物だと言っていいのではないかと思う。
1年半前に、日本も地震で大変な思いをしているので、
イランの状況は他人事には思えず、
見入ってしまう。
津波の被害とは違って、
乾いた土の中での復旧は、
それはそれで、大変な苦労があるようだ。
それでも人々は生きてゆく。
神様の仕打ちについて悩んだり、
そんな事を考えても仕方ないと、
前だけを見つめていたり。
とても辛い状況でありながら、
やっぱり人は生きていくのだと、
なにか力強い気持ちにさせられる。
ところで、この映画を観るにあたって、
私はちょっと失敗してしまったんだな。
この映画は3部作となっていて、
「友だちのうちはどこ?」
↓
「そして人生はつづく」
↓
「オリーブの林をぬけて」
が撮影順となるわけだが、
私はこの間、「オリーブ~」の方を先に観てしまったのだ。
(「友だち~」は以前に観ている)
分かっていたのにそういうミスをする、
やっぱり私はアホだ。
「オリーブ~」は、
何が面白いんだか、
今ひとつよく分からず、
評価が高い理由も掴めなかったのだけれど、
そのはずだと、本作を観て分かった。
あちらは、震災の翌日結婚した夫婦の物語を
映画化する監督の話なのだ。
理解できなくて当たり前よね。
もう一回「オリーブ~」を観てみるつもり。
「そして人生はつづく」の方が、
3部作の最後の作品のタイトルみたいじゃない?(笑)
評価 ★★★★☆
この記事へのコメント
su-nya
よくわからないながら味わい深い撮り方の監督だなぁと感じました。
そうか、私も抜かしていたのね。
2作目と3作目、要チェック!
中東世界って、ニュースで見ると恐ろしげですが映画で見ると人間味あふれる、いい作品が多いですね。
「少女の髪どめ」「運動靴と赤い金魚」など
ギンレイホールに通っていた頃は色々観ました♪
青山実花
コメントありがとうございます。
良かった、私と同じ事をされている方がいて。
(ごめんなさい(笑))
でも、「ともだちの~」は1作目なので正解です。
でも、この「そして人生~」を観ないと、
「オリーブの~」の意味がよく分からないんです。
ぜひ、この映画を観てほしいです。
本当に、私もそう思います。
最近、劇場公開されていた「アルゴ」も、
まさしくイランを描いた映画ですが、
とても怖かった。
でも、アッバス・キアロスタミ監督の描くイランって、
全く別の国のようです。
「少女の髪どめ」も「運動靴と赤い金魚」も未見です。
いつか必ず観てみますね。