
〔1962年/日本〕
復員してきた朝吉(勝新太郎)は、
田舎に帰ると、自分が死んだことになっていて、
墓まで建てられている事に驚く。
けれど、家族や村の人たちは、
彼が生きていた事を喜んでくれる。
妻のお絹(中村玉緒)を訪ねた朝吉は、
お絹が別の男と結婚し、
子供までなしていた事にショックを受ける。
しかし、ショックはお絹も同じ事。
死んだと思っていた朝吉が生きていたなら、
ずっと待っていたのにと、後悔の涙を流す。
朝吉の舎弟だった貞(田宮二郎)の弟・清次が、
釜ヶ崎にいると知った朝吉は、
貞の母親を伴って、弟を探しに行く。
やっと見つけた貞そっくりの清次(田宮二郎・二役)は、
怪しげな英語を操り、
闇市の土地を買い取るという野心に燃えた男だった。
闇市で雑炊屋を始めた朝吉だが、
清次のボスから立ち退きの嫌がらせに遭う。
清次は、稼いだ金を、
土地購入の為、ボスに渡していたが、
ボスは清次の事など眼中になかった。
騙されたと知った清次は、
朝吉の側に付き、
大騒ぎとなる・・・。
シリーズ3作目。
これは、本当に「新」だ(笑)。
というのも、2作目の終わりで、
ある事件が起こり、
お話は完全にリセットされているのだ。
なので、3作目以降は一体どうなるのかと、
一人心配していたのだが、
そうか、そうきたかという展開。
しかも、1・2作目より、
こちらの方がずっと面白い。
ストーリーもしっかりしているし、
コミカルな面もある。
やっと軌道に乗って来たという感じ。
戦後の闇市を巡っての、
ヤクザの組と、店を出す人々の攻防が、
大変に興味深い。
勝新太郎は、
まるで「兵隊やくざ」の大宮貴三郎の
復員後の姿のようで、
懐かしい気さえする。
これからの展開が楽しみだ。
評価 ★★★★☆
この記事へのコメント
坊や
勝新さんの魅力ですよね。 悪名はじめ、座頭市、兵隊やくざ、どれも大好き
な作品です❤
名優田宮二郎さんの早い死が今も惜しまれます。
青山実花
コメントありがとうございます。
そうなんですよね。
なんとも愛嬌のある、愛されキャラですね。
「悪名」でも、最初は田宮二郎にお熱だった女性が、
いつの間にか勝さんに惚れていたりして(笑)。
田宮さんも、クールなだけの方なのかと思っていたら、
コミカルな役も多い事を、
古い映画を観るようになって知りました。
もっともっと生きて、沢山の映画を撮って欲しかったです。