
〔2011年/イギリス〕
イギリス初の女性首相・マーガレット・サッチャー(メリル・ストリープ)も、
今は老い、
自宅で静かに暮らしている。
ミルクを買うのに一人で出掛けるが、
なぜか周囲の人間から、外出は駄目だと強く言われる。
買い物くらい自分にもできるのに、
そんな事、言われたくはない。
夫と二人でとる朝食は幸せ。
でも、部屋にいたはずの夫が、
目を離すといなくなっている。
どこに行ったんだろう・・・。
昔、イギリスを、そして世界を動かしていた自分。
雑貨店に生まれ、
店を手伝いながら、懸命に勉強した。
オックスフォードに合格した時の、天にも昇るような喜びったら。
他の女の子たちは、変わり者だと噂していたようだけれど。
市長の経験がある父の影響で、
政治家を志すようになったけれど、
初めての選挙では、あえなく落選。
失意のどん底にいた自分を救ってくれたのが夫だった。
夫は、ありのままの自分を受け入れてくれた上で、
プロポーズしてくれた。
「一生お皿を洗って終わる人生なんてまっぴら」と言う自分の言葉を理解し、
結婚後は男の子と女の子の双子にも恵まれた。
家族に支えれらながら、
政治家としての道を歩み始めた自分・・・。
先週、「徹子の部屋」に2日連続で、
メリル・ストリープさんがゲスト出演していたので、
録画して観た。
徹子さんと談笑するストリープさんは、
それはそれは素敵で、
想像以上に知的で、落ち着いた、穏やかな女性だった。
実は私は、以前は彼女が好きじゃなかった。
というより、彼女の良さがよく理解できなかったのだろうと思う。
でも、今なら分かる。
浮き沈みの激しいであろうハリウッドにおいて、
彼女がなぜずっと、第一線で仕事ができるのか。
私も年を取ったら、あんな女性になりたい(無理か(笑))。
目じりのしわまでカッコいい。
で、元イギリス首相、マーガレット・サッチャーを描いたこの映画、
観ようかどうしようか迷っていたけれど、
「徹子の部屋」のおかげで、やっぱり観ちゃったよ(笑)。
“主演女優賞を取るくらいだから、
どれだけシリアスで、重たいんだろう、
特に思い入れのないサッチャーさんの半生を観るのに、
2時間半くらいあったら辛いかな”と、
とちょっと不安だったのだけれど、
意外に軽くて、時間も1時間45分。
年を取ったサッチャーさんが、過去の出来事を回想、というより、
彼女の頭の中に、自然に浮かび上がってくる映像を
映画にしたような作り。
政治の場面は、思っていたより少なくて、
起こった出来事の羅列といった印象。
できれば、もう少し、
家庭人としてのサッチャーさんが観たかった。
子どもたちが、仕事に行くサッチャーさんの車を追いかけるシーンが、
一度だけあったけれど、
たとえば、その辺のエピソードを、
もっと深く掘り下げるとか。
それとも、そんな悩みはあまり無かったのかな。
なにせ彼女は“鉄の女”だし、
頭がいいし、
子育て、その他に於いて、
常に先手を打って、上手くやっていたのかもしれない。
それくらいでなければ、
一国の首相は務まらないわね。
評価 ★★★☆☆
この記事へのコメント
don
フォークランド紛争で、軍人が彼女に進言をして、
彼女が意思決定するシーンや、家で爆弾が破裂するシーンの
印象が強かったです。
星3つですか(笑)
yonta*
メリル・ストリープが、テレビのインタビューで、
アカデミー賞の時に金色のドレスだったのは、娘さんたちに
「賞は獲れないだろうから」って冗談で言われて、
みずからオスカー像に・・みたいなことを言っていたのですが、
「徹子の部屋」でもそんな話はされてましたか?
私も正直、あまり好きな女優さんじゃなかったのですが、
ずっと観ていると、しみてくるというか、少しずつ良さがわかってくると
いうか、上手く表現できないのですが、そんな感じがしてます。
青山実花
すみません、わたし的には3点でした(笑)。
政治的な場面も、家庭的な場面も、
どっちつかずな感じで、中途半端な印象で・・・。
女の私は、サッチャーさんの、
仕事と家庭の両立の問題などを
もっと掘り下げてほしかったのです。
もちろん悪い映画ではなかったです。
青山実花
私も長さが不安でしたが、
その点は大丈夫です。ご安心下さい(笑)。
金色のドレスのお話はなかったように思いますが、
イギリスで賞を獲られた時、
ステージでハイヒールが脱げてしまい、
それをコリン・ファースが履かせてくれるというハプニングを
映像つきで解説して下さっていました。
観ているこちらにしたら、
大スター同士のそんなやり取りに「おぉ!」という感じで(笑)。
やはりそうですよね。
彼女は、華やかさとか美しさで売っている女優さんではなく、
(ごめんなさい、馬鹿にしているわけはありません)
内面の良さが、年を取って説得力を増したのかな、と
「徹子~」を観て、そんな風に思っています。