
〔1975年/日本〕
岩手県の寒村。
村の住人の殆どは農業を生業としており、
青年団の団長・寺尾聰もその一人。
ある日、寺尾の家に見知らぬ女・倍賞千恵子がやって来る。
倍賞は「統一劇場」という劇団の一員で、
寺尾の村でミュージカルを上演させてほしいと言うのである。
青年団の会議で、若者たちは興味を示すが、
費用が65万円もかかると知ると、
途端に二の足を踏む。
しかもそれは、ギリギリの予算であり、
それ以上安くなる事はないと言う。
費用を捻出するには、
1000円のチケットを650人に売らなければならない。
会議は何度も繰り返され、
喧々囂々のやり取りが続いた。
結局、最後に寺尾が言った、
「赤字だったら、俺が牛を売って弁償する」の一言で開催が決まる。
ミュージカルは成功するのか・・・。
フィクションなのかドキュメンタリーなのか、
よく分からないような、
ちょっと変わった映画。
全体にとても地味。
前半の1時間の殆どは、
会議の場面に費やされる。
その合間に、東京に出ていこうとして、
親と大喧嘩する市毛良枝の場面などが入るが、
それは村の状況を表すエピソードにすぎず、
流れに大きな影響はない。
ミュージカルのなんたるかも知らなかった村人たちが、
劇が始まると、
みんなキラキラと目を輝かせて見入ったり、
爆笑する場面が微笑ましい。
山田洋次監督作品。
倍賞千恵子の他にも、
「寅さん」のおいちゃん・下絛正巳、
おばちゃん・三崎千恵子などが出ていて、
懐かしい。
それから、ある場面で渥美清の登場。
セリフなしのほんのチョイ役。
でも彼が出てくると、画面が引き締まる。
ウキウキする。
半年続いた「お祭り」のあと、
青年団の若者たちはまた、
農作業をして暮らしてゆく。
生涯、彼らは、
集まると必ずこの話題で盛り上がるのだろうと、
そんな気がする。
評価 ★★★☆☆
この記事へのコメント
don
集まると必ずこの話題で盛り上がるのだろうと、
そんな気がする。
ぼくもそんな気がします。
高校の体育祭みたいなものなんでしょう^^
青山実花
そうなんですよね。
日々、平凡に暮らしているからこそ、
一瞬の煌めきが眩しい。
人ってそうやって生きていくのでしょうね。
マリエ
出演していたある劇団とは実際私も映画のようにミュージカルを皆で作ると言う事をしました。集まると本当に今でも盛り上がりますよ(*^-^)
青山実花
こちらこそ、ありがとうございます。
映画と同じ体験をされたとは、
興味深いお話です。
きっと映画のようにやり甲斐のある体験だったのではと
推察いたします。
盛り上がるのも分かります。