「アキレスと亀」

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〔2008年/日本〕


群馬の大金持ちの息子、倉持真知寿(吉岡澪皇)は、
絵画好きの父親の影響もあって、
絵を描く事がとにかく大好き。
授業中も勉強もせず、ひたすら描く描く描く。
将来は画家になるものだと誰もが思っていたが、
父親の会社が突然倒産し、両親は自殺。
人生は一転し、貧乏のどん底を味わう事となる。


青年になった真知寿(柳憂怜)は、
新聞配達や印刷工をしながら、
相変わらず絵を描く日々。
働きながら美術学校に通い、
仲間もでき、
絵の才能は、あるんだかないんだか分からぬが、
情熱だけは衰えない。
理解ある職場の女と結婚し、子供も生まれ、
人並みの幸せも手に入れる。


中年になった真知寿(北野武)。
相変わらず絵は全く売れていないが、
安アパートで、妻に手伝わせては制作に励む。
成長した娘は、両親を嫌悪し、家出。
それでも真知寿は諦めない。





真知寿という男の人生を、
少年期、青年期、中年期と三世代の渡って描いたコメディ。
笑った笑った。
本当に可笑しかった。
印刷工をしながら描いた、
閉店セールのチラシのデザインやら、
交通事故まで絵の題材にして新聞に載ってしまったエピソードなんか、
笑いが止まらなかった。


けれど、ただ可笑しいだけじゃない。
絵を描く事にしか喜びを見出せなかった男の、
情けなさとか、悲哀とか、
そんな物が画面から滲み出ていて、
コメディだけに納まっていないのが、この映画の魅力だ。


評価 ★★★★☆

この記事へのコメント

  • k_iga

    「世界の北野」もこの辺がピークかなぁ?
    2010年12月20日 21:54
  • ハル

    沢山映画を観ていると1つ1つの内容って覚えていられるものですか?

    ちなみに僕は、歳月がたつとすっかり内容も忘れてしまいます(泣)
    2010年12月20日 23:39
  • 青山実花

    k_igaさん

    そんなそんな悲しい事をおっしゃらずに~。
    北野氏は、ヨボヨボのお爺さんになっても
    頑張ってもらいたいです~。
    惚れてるんです、私。
    2010年12月21日 12:10
  • 青山実花

    ハルさん

    不思議なもので、
    仕事の事はすぐ忘れてしまうのに(笑)、
    映画の事は覚えているのですよね。
     
    あと、昔から、映画を観ると、
    その粗筋や感想を記録しているので、
    それも忘れない原因かもしれません。
    2010年12月21日 12:16

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